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ゼネコン(general contractor):総合工事請負契約者

大手ゼネコンが、大規模の公共事業等を顧客から請負、実際の作業は、このゼネコンから、多くの下請け会社へ振り分けられて、行われます。
ゼネコンというと、土木建設業をイメージしますが、コンピュータ関連企業でも、同様に行われており、ITゼネコンと呼ばれています。

<ゼネコン主体の場合:>
元請から下請会社、さらに孫請会社へと発注されます。
各請負会社は、自分たちの利益を確保するために、金額を順次、上積みします。
結果として、実際に作業をしている孫請会社の請負金額は合計900万円なのに、元請から顧客への請求額は2,000万円となり、2倍以上の金額になります。
そもそも、元請会社には、「労働」を伴わずに、高い報酬をもらっている人(社長を含めた幹部社員等)が多く居るため、その人たちの費用を確保するために、どうしても高くなります。社長を含めた幹部社員等は、宴会、ゴルフ等で人間関係をつなぐのに忙しいようです。

<顧客主体に変えた場合:>
元請、下請会社は、孫請会社への仕事の指示、管理を行っていますので、その作業を、顧客自身で行えば、孫請会社の請負金額の合計900万円のみで済む勘定になります。

最近は、経費削減のため、ゼネコンとの関係を見直す法人が増えているようです。

<ITゼネコンと土木建設業ゼネコンの違い>
土木建設業ゼネコンでは、談合等により、できるだけ高い金額で請負うように努力しますが、ITゼネコンでは、最初のメインコンピュータ(汎用機)を導入することができれば、その後、5年程度は「随意契約」により、有利に仕事を請負うことができます。このため、最初の入札では採算を度外視した安い金額で請負います。富士通の1円入札等は有名ですよね。

しかし、元請から下請会社、さらに孫請会社へと発注する形態では、権限の強い元請会社がしっかりと利益を得るために、下請会社、さらに孫請会社を締め付けることになります。また、金銭面だけでなく、仕事を進める上での問題点について、下請会社、孫請会社は、顧客と直接交渉する機会が少なく、でも、実作業の負担は大きく、下請会社、孫請会社はたいへん苦しめられているようです。大きなシステム開発では、自殺者が出ることも珍しくないようです。

ゼネコン主体から顧客主体に変わり、ゼネコンを通さないようになれば、様々な問題が解決すると思います。
ITゼネコン側は、「システムに問題が発生した時にだれが責任を取るのか」と指摘するそうですが、ITゼネコン側の責任の取り方は、責任者が揃って頭を下げるだけです。実際のシステムの修復は、下請会社、孫請会社のシステムエンジニアが必死で行っているのが現実です。

<補足>
私も、以前は、大手のソフトウェア会社でシステムエンジニアとして、見積りを行ったことがあるのですが、システムエンジニアの1人月の見積り金額が100万円程度だったことを覚えています。当時の私の月給は30万円に満たない状態でした。
見積り単価には、社長を含めた幹部社員、営業、人事、総務の人たちの給与や様々な経費が、システムエンジニアの見積り単価に上乗せになっているようです。従って、顧客への提示金額は、システムエンジニア自身がもらっている給与の3倍から5倍の単価になります。こんなに高い金額を顧客が払うはずがなく、単価の安い下請会社、さらに孫請会社へと発注することにより、単価の高い元請会社のシステムエンジニアの割合を減らして、トータルで2倍程度に収まるようにします。この辺が、見積りで一番悩まされた点です。(^_^;;)
私が以前勤めていた会社の経理担当者は、「この単価で見積りしてもらえれば、当社は充分に利益を得られる。」と胸を張って言っていました。それはそうでしょうが、あまりに高過ぎます。本来、商品やサービスの価格を決めるのは消費者です。
ソフトウェア会社が存続するには、異常に高いシステムエンジニアの単価は、仕方の無いことのように思えますが、逆に、このようなソフトウェア会社は、市場競争力に欠けているため、潰れて当然という気もします。
また、営業部門に在籍していたこともあるのですが、営業の会議では、顧客からの仕事の請負を入札ではなく、如何にして「随意契約」で請負うかが議論されます。
犯罪ではないと思うのですが、このようなドロドロした行為を行っている会社に在籍していたのかと思うと、情けなく思います。
※もちろん、談合もしっかり行っているようでした。といっても、さすがに、営業の会議で談合について話し合うことはありません。関係する担当者と上司がコソコソと話し合って進めているようでした。

このような大手企業と呼ばれる会社が、胡坐をかいて居座っている社会構造が問題だと思います。
大手企業が潰れることで、中小企業が活きて来ます。

<補足2>
また、顧客側にも問題があります。官公庁は既に問題視されていますが、一般企業においても、同様の問題がありました。
私が担当したプロジェクトで見積り費用を顧客に提示したところ、顧客担当者より、「君たちシステムエンジニアは、高い給料をもらっているんだね」と言われました。それで、「システムエンジニアの給料が高いのではなく、社長を含めた幹部社員、営業、人事、総務の人たちの給与や様々な経費が、システムエンジニアの見積り単価に上乗せになっている」ということを説明したところ、何故か納得したようです。幹部社員や営業が訪問すると、喜んで、仕事とは関係ない話をダラダラとしていました。本来ならば、「幹部社員、営業は来なくてよいから、その分、見積り費用を安くしてくれ」というのが、筋道ではと、私は不思議に感じました。
そもそも、この顧客は、大企業の厚生年金基金を担当しており、巨額の金を持っていたため、金銭感覚がおかしくなったのだと思われます。この顧客担当者は、仕事中も、競馬の話をしたりして、のんびりと仕事をしているようでした。今の社会では、こういう人間が出世するんですよね。

<リンク>
クローズアップ現代 放送記録:自治体 vs ITゼネコン
人民新聞人民新聞[社会] おバカな役人と小ずるい「ITゼネコン」
ゼネコン君!!